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■2009年04月23日（木）13:11
ダークナイト感想
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 | DVD借りてきて、映画「ダークナイト」を観ました。なんかタイタニックに迫る勢いで興行成績歴代２位らしいので…。特撮モノは好きなので、バットマンも昔の映画シリーズはリターンズまで観ていたんですけど、１作目は満足だったのですが、２作目でトーンダウンした感じがして、あまり好きじゃないロビンが出ると聴いてそれ以降は観ていませんでした。
ちなみにバットマンは、アニメ版と実写シリーズは少し観ているので、多少は知っているつもりですが、いざ観てみると設定とかキャラクターをかなり結構忘れていて途中でわからなくなって冒頭のシーンを見返してしまいました。うーん、歳をとったのかな…、初見でスジが追えなくなるなんて…。この作品は昔やっていた映画シリーズとは別シリーズではあるものの、「バットマン・ビギンズ」の続編という事なので、先に前作を見なかったのも失敗でした。『続編』というせいもあって登場人物の紹介や設定について冒頭で時間を割いてくれなかったのです。
監督は映画「メメント」を作った方で、メメントが個人的にかなり好きだったのですが、この映画もメメント同様の濃い世界観を持った作品になっていました。この新シリーズの特徴は、漫画的な勧善懲悪を極力廃してリアリティを追求した点にあります。舞台となるゴッサムシティも旧作までの漫画的な街並みではなく、リアルなアメリカの都会の風景に変わりました。
敵役であるジョーカーも、過去にジャック・ニコルソンが演じた愛嬌のある悪役ではなく、狂気を背負った本当に怖い人物として描かれています。（それでいて今回のジョーカーも愛嬌があるところは俳優の演技力の賜物で、さすがといえる所です）
視聴する前にもいくつかレビューを読みましたが、そこでも良く書かれ、個人的にも同意する点として、この作品の見所は善悪というもののあり方を根底からリアルに考えていて、バットマンの行動によって必ずしも事態が好転しない展開もあり、そのせいで市民の反感を買ったり、バットマン自信もそれに苦悩する事です。善人だったはずの人間が悪に落ちたりするような描写や、正義が必ずしも万人に与えられる幸福ではないという、善と悪というのが絶対ではないというこの作品のテーマは今までのアメリカンコミックの映画化には無かった描き方で、その点が本国で受けた理由だと思います。
が、こういうヒーロー像は日本では割と昔から描かれていたものでもあるので、その点は個人的にはショッキングではありませんでした。古い作品を例にあげれば、仮面ライダーアマゾンは一般人からも敵視されるというヒーローでしたし、仮面ライダー龍騎はライダー同士がお互いの欲望のために戦うというプロットを持ったお話です。でもアメリカではヒーローモノでその手の方向性はご法度だったはずなのですが、こういう作品が作られ、受けたという風潮の変化が面白いです。
それに日本だとあくまで子供番組を意識して作られてしまう点で、このダークナイトほど（特に社会的なモラルの部分まで）突っ込んだ描写はしませんでしたし、それをさらに昇華し、出来上がった媒体が『ハリウッド映画』だという点で高く評価できると思います。
残念だったのは、２時間半という長い作品にも関わらず、それでも尺が足りないせいで展開が急ぎ足だった点、さらにキャラクターのバックボーンが描き切れておらず、キャラクターの感情移入という点で物足りないという事です。俳優の演技力でカバーしていますが、プロット的にはもうちょっと出来ている筈。多分テレビシリーズでやっていたらもっと面白かったはずです。…まぁ、これが映画だという点がいい所でもあるので、実際テレビでやったらどうかというと悩みどころです。それだと予算も減りますし、意欲作ではなくなってしまいます。
というわけで、個人的には評価は８０点くらいでしょうか？まぁ、とりあえず話題作がどんなもんか確認するだけでも勉強になるし、手の込んだ意欲作であるのは間違いないので見て損は無い映画だと思います。
…これみた人は「メメント」も観て欲しいなぁ。アイデアが秀逸なサスペンス映画ですよ。こっちは８５点です。 | | |
