■2015年09月09日(水)02:48
電子書籍は買いか?
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なんか最近、日記をよく書きます。まぁすぐ飽きるでしょうがw
ところで電子書籍ですが、皆さん読んでますか? 日本人的感覚で言えば、紙のほうがいいという派が多いでしょう。しかし、持ち運びや、収納に限りがある日本の住宅事情を加味すると、部分的にでも電子書籍を導入するのはありだと思います。俺も最近は電子で読めるものは電子で、というふうになりました。
そんなわけでアマゾンをよく利用しているというのもあって、数年前からキンドルで本を購入するようになりました。キンドルは一冊の本を一回の購入で、それをPCでもスマホでもタブレットでも読むことが出来ます。…俺はスマホは持っていませんが、PCと13インチのタブレットがあるので、家でも外でも読むのに不都合はありません。キンドルはどこまで読んだかをアカウントで管理しているので、例えば家で読んだ続きをタブレットで外で読もうとしても、自動的に続きのページから開くことが出来ます。これは地味に快適で、一番の問題だった収納の問題も解決し、やったぞと思っていたのですが…。
最初は良かったのです。しかし、電子書籍は問題もあって、暫くしてあまり読まなくなってしまいました。それは目の疲れです。特に漫画は吹き出しの文字は小説より小さくなるので、よく見るためには凝視しなければいけません。その上液晶画面のバックライトは眩しく、液晶の黒ベタの表現はインクと違い独特なので、すぐに目が痛くなってしまうのです。明るい場所ではバックライトに頼らなくてもいいのですが、明るい場所ではそもそも液晶は全く見えなくなる特性があります。
目の問題がどうにもならず、これは無理かなーと思っていたとこで救世主となったのが友人のすすめで知ることになった、液晶ではなくE-ink方式(電子ペーパー)のディスプレイでした。買ったのはキンドルペーパーホワイト2013という端末。これは液晶と違い、裏表を白と黒に塗られた球体をオセロのように反転して色を作ります。液晶のようにRGBのライトで色を作ってるわけではないので、紙とほぼ全く同じ見え方をするのです。明るい場所ではバックライトを切っでも全く問題なく、暗い場所でもかなり弱いバックライトで見ることが出来ます。その代わり、カラーページもモノクロでしか見れませんが。
でもこの端末は凄い。目の疲れ方が紙と変わりません。正直ぱっと見、ガラス板かアクリル板の下に、本物の紙の原稿が挟まってる。そんなふうに感じる見え方です。カラーは表現できませんが、カラーページは今までのようにPCやタブレットで確認すればいいので、それほど問題ではありません。長時間の読書だけ電子ペーパーを使えばいいというだけです。
電子ペーパー端末によって、読書ライフは劇的に良くなりました。ただし、いくつかの本を読んでいるうちに、また別の問題に直面しました。それは漫画の解像度の問題です。ちなみに小説や文字だけの本は全く問題ありません。文字だけの本の場合、文字はフォントデータで表現してくれるので、大きさを変えても文字がぼやけることはなく、見た目の質感も紙そのものということもあり、E-ink(電子ペーパー)なら、むしろ紙の本以上に疲れずに読めます。しかし漫画のページは文字部分も含めて一枚の画像なので、データの解像度が低ければ、ぼやけてしまうのです。
漫画の解像度はどのくらい必要なのか? 自分で色々自分の本のデータ等を使って試してみたところ、縦サイズ(長辺)、1600pix(タテ1600ドットということ)ほどあるとストレスなく読めると感じられました。1400pixでは吹き出し文字などはくっきり。ルビ等の小さい文字は少しぼやけるが、まぁ見えるレベル。1200pixでは吹き出し文字は少しぼやけるが読むぶんにはあまり問題なし。しかしルビなどより細かい字は判別が困難となり、手書きの小さい字は判別不可能。1000pix前後ともなると、吹き出しサイズの文字は一応読めますが、それが限界。画数の多い漢字はほぼ潰れます。ルビもなんとなくしか見えません。デジタル作成の原稿の小さい手書き文字は絶対に読めない。
で、キンドルのデータはどうなっているかというと、初期に電子化された漫画は大体縦(長辺)1024pixというものが多いです。これはその当時の端末の解像度にあわせてそうなっているようですが、これは失敗でしょう。比較的ここ数年の新しいデータだと縦1200pix〜1400pixというものも見られますが、結局全部ではないし、そもそも1200も1400もかなり改善されますが、最高とはいえません。なぜ将来のことを考えてもっと大きなサイズで作らなかったのか? 例え解像度の低い端末であっても、キンドルには拡大表示機能もあるので、高解像度データは無駄にはならなかったのに。これは、キンドルの最大の失策だと思います。
ページのデータサイズの話をしましたが、では見る側の環境。端末の方はどうでしょう。PCやスマホ、タブレットは機種にもよりますが、HDサイズだと仮定すると1080x1920となりますね。これだとデータサイズさえあれば、縦で単一ページ表示をすれば、縦が1920ありますので、データサイズが大きければ十分な解像度となります。しかし横に倒して見開き表示にすると、縦サイズは1080になるので、細かい字は判別が困難になり、時折、拡大表示が必要になります。そもそもキンドルの解像度はさっき書いた通り縦1024pixのものが多いので、どうしようもありません。
では電子ペーパーの端末はどうか? キンドルはグレードによって解像度が違いますが、俺の買ったペーパーホワイト2013では、縦サイズ1024pixとなっていました。これは1024pixのデータを等倍で表示できるので、一応気が利いてるとも言えるのですが、先ほど触れたとおり、もっと解像度がほしいのです。拡大機能を使ってもデータが1024だと、ぼやけたものが大きくなるだけで、使えない機能になっています。縦1200や1400サイズの漫画であれば、小さい部分だけ拡大機能を駆使して読むぶんにはそれなりに快適ですが、サクサク感はありません。せっかく目が疲れないという利点があるのにもったいないです。
さて、ところでキンドルペーパーホワイトには新バージョンが登場しました。2015版です。これはミドルクラスでありながら、キンドルボヤージという先に出たハイモデルと同じ縦1448pixという高解像度を持っているのです。気になったのでこちらも購入してみました。この端末だと、単一ページ表示では、ほぼどのデータでも最大の解像度で楽しめます。使ってみたところ、解像度の大きな漫画であればかなりの快適さを感じることが出来ました。
とはいえ、俺が必要と思っている縦1600pixにはデータも端末も若干足りていないし、そもそも端末自体が6インチしかないので、くっきり見えていても凝視する必要性があるのです。6インチって、そもそも漫画の単行本より小さいんです! くっきり見えるデータでも、なんか文庫サイズのマンガ本を読んでる時のような感じのストレスにはなっちゃうんですね。孤独のグルメの文庫版とか持ってる人なら分かるかな?
そんなわけでまとめると、まず小説や文字だけの本に関しては、キンドル(に限らず電子書籍リーダー)は、文字の大きさが自由に変えられるし、最高の読書アイテムだと思っています。目が疲れない体質の人であれば、PCやスマホ、タブレットで十分でしょうし、目の疲れが気になる人なら、E-inkの電子ペーパー端末は紙以上の快適さが手にはいります。6インチサイズも、片手でちょうど良いサイズで、小説ならば手頃です。
漫画は条件付きです。データが縦1024pix程度でも、大きな吹き出しばかりの漫画ならば結構読めます。例はカイジとかアオイホノオとかです。手書き原稿は書き文字も大きいので問題無いです。なので、少年誌や手書き青年誌は比較的いけます。絵の細かい萌え4コマとかになると1024pixはかなり厳しい。1200pix以上だと一応読める。このような細かい漫画は、発売時期が最近1,2年のデータでなければ、ぼやけを疑ったほうがいいです。古く作成されたデータほど低解像度が疑えるからです。つまり漫画で快適さを得るには、いろいろな条件が限定的で、買ってみるまでわからないギャンブルになります。
自分はキンドル専門なのですが、ebookjapanの電子書籍は比較的解像度が大きいらしいです。同じタイトルの本ならキンドルよりデータサイズが倍くらいあるそうなので、縦1400〜1600くらいはありそうな感じです。それらのデータをHDサイズのタブレットで縦単一ページ表示をすれば、快適に読むことが出来ます。ただし、キンドルの電子ペーパー端末は使えないので、目の弱い人は、液晶の目の疲れには悩むことになります。
そんなわけで長々と最後まで読んでくれた人が、果たして何人いるかわかりませんが、現状、電子書籍は小説なら最高。漫画は限定的な環境で快適になった。というふうに感じています。とはいえ、持ち運びがラクで、住宅事情にやさしい電子書籍は将来性がある分野だと思っています。特に電子ペーパー、E-inkに関しては、目が弱いおじさんの俺には有難い技術で、贔屓にしていきたいなと思います。
悪い所もいっぱい書きましたが、電子ペーパーはフォントで読める文章モノを読むには最高の端末で値段もペーパーホワイトなら1.4万程度。漫画も過度な期待さえなければ、一応それなりに読めるというわけで、使い方をわきまえれば現状でも「買い」だと思っています。
…ほんと、アマゾンのデータ作成係は反省して欲しいです。端末もデータも縦1600にし、画面サイズもコミックサイズに。そうしないと漫画派にはキンドルの普及は難しいでしょう。お願いしますよ?
↓画像は縦1024pixの萌え4コマ漫画のデータを拡大表示したところ。拡大終了のXボタンがぼやけていない(ピントは合っている)のに、セリフ枠の文字がここまでぼやける。ちなみに「潜望鏡」と書いてある。画像の漫画は「ちょっとかわいいアイアンメイデン」の1巻です。2巻以降は解像度が上がっていくので一応読めるまでには改善されています。こういうのは作者サイドにはどうしようもない問題なのです…。 | | | |